近頃、地方で個人が開業するビジネスは、
カフェ・蕎麦屋・パン屋が目に入りますね。
そんな中で昔からの個人経営の焼きたてパン屋が
地方と都会を問わず苦戦している所が多いようです。
お米の消費量がひたすら沈みゆく日本国内ですが、
パンのカテゴリーはまだまだ売上が伸びています。
しかし、伸びる市場特有の新規参入も多く、
スーパーの中のインストアベーカリーや
コンビニのオリジナルPBなど
年々競合は激しくなっていく現状。
従来スタイルの町の焼きたてパン屋で
苦戦をしているお店は、
・立地(買い物に便利な場所ではない)
・価格(競合よりも安くしないと)
・市場(商圏の客が高齢化、少なくなっている)
これが不振の原因と思っているようです。
まあ従来のマーケティングの基本なので
もちろん全く間違いではないのですが。
しかし・・・
現在の売れている店との決定的な違いは、
・卓越した味
・客を惹き付けるコンセプト
・伝わる発信力
ここが全く違うと思います。
なぜ従来スタイルの焼きたてパン屋がそこに陥るのか?
それにはこの業界特有のものがあると思います。
それは、
卓越した原料問屋のフォロー力
パン業界の原料問屋さんの実力はスゴイ!
個人で多品種少量生産の焼きたてパン屋ができるのは、
原料問屋のおかげといっても過言ではないのです。
アンパン・クリームパン・メロンパン・カレーパン
食パン・バケット・クロワッサン・ディニッシュ
その他多数のアイテム
これを一日に数個ずつ店頭に並べる為には
一から原料を作っていたのでは無理です。
だから、原料問屋さんは、
この粉で生地を作って、中の具材はこれ、
というのを用意してくれるのです。
アンパンを作る為にはアンパン製造キットを提供してくれます。
焼きたてパン屋さんはそれを組み立てて焼いて店頭に並べる。
そして、流行りのパンが出れば、
その情報と共に、またそのキットを用意してくれる。
そんな問屋頼みのやり方をしている現状
だから多くの焼き立てパン屋のアンパンは、どこでもほぼ同じ味になる。
一方で、現在の売れているパン屋さんは、
味やコンセプトにこだわり、
原料を吟味して、腕を磨いて
クオリティの高いオリジナルなパンを産みだす。
価格は高めで時には品数さえ減らす。
そして切磋琢磨を怠らずに続けていく、
その卓越した味とコンセプトが客を惹きつけています。
結局、従来の町の焼きたてパン屋さんと全く違うので、
人口の多い立地のパン屋さんが苦戦するなかで、
周辺人口の少ない立地どころか、
人里離れた立地でも繁盛出来る。
この焼きたてパン業界、
一見同じように見える商品なのに繁盛店との差が大きい、
身近に多いので見ているとマーケティング的に非常に勉強になります。