一文字違いで大違いの結果が出た、農家カフェ集客のお話です。
丹波の婦木農場がお客さんと交流したいとの思いで、
農場内に農家体感施設○まるをオープンさせたのが2013年夏の事でした。
地方にありがちな、
オープン当初は開店ご祝儀相場の様な感じで満員御礼でしたが、
月2回の通常の農家カフェスタイルにしてからの集客はよくありませんでした。
専業農家の仕事が忙しい事もあって、
当初カフェは近所の繁盛店に出張で入ってもらうスタイルで、
営業時間中だけ農場主夫婦がその場に居て
お客さんと交流するというやり方をとっていました。
繁盛しているカフェがやっているだけに、
ドリンク、フードのクオリティは高いし、
食材も旬の婦木農場の作物を使用しているので、ストーリー性もあります。
地元の新聞にも掲載され、自社のWeb媒体もあるし、
告知はある程度出来ているはずなのに客足が伸びない・・・
結局、当然ながら繁盛店カフェは採算が合わず手を引く事となりました。
さて、どうする?
我々は有る事に気付き始めていました。
それはリピーターが殆どいない・・
カフェとしてのドリンク、フードのクオリティは問題ないし、
近所のそのカフェは相変わらず繁盛しているのに?
ある仮説が浮かんできました。
それは「丹波の婦木農場の農家カフェに来た
お客さんのニーズに応えられていないのではないか?」
「婦木農場としての農家カフェをやるべき」
では、婦木農場の農家カフェってなんだろう?
そこで「自分はプロでは無いし、農家の家庭料理しか出来ない、
そんなもの誰がわざわざ食べにくるの?」と渋る奥様を、
「その農家の家庭料理を出しましょう」と説得しました。
実は厚かましくw何度も婦木農場でごはんを食べているのですが、
婦木家の食卓に出てくる料理は当然自家製野菜の規格外品中心です、
しかも旬は一時季なので同じ種類の野菜がこれでもかという量出てきます。
婦木農場の普段の食卓は、
これらを素材に伝統と創意工夫を尽くした野菜料理です。
この野菜はこんな風に料理するのか~との驚きや、
それぞれの野菜の味の引き出し方が
オリジナルでクオリティの高いものだと感じていました。
出来る限り婦木農場の産物を使って、
普段婦木家で食べているような旬の野菜料理を
大皿で何品かを並べるバイキング形式。という案が採用されました。
なぜバイキング形式か?との種明かしをすると、弱みと強みです。
飲食業の経験の乏しい我々は、
注文を受けてから配膳、提供というサービスは慣れていません、
練習できる時間もありません、スグに本番になるので、
慣れるまで待ってとお客様に言えるわけもないです。
料理の仕込みと違って、
そのサービスは事前準備が出来ないのです。
しかも人手もありません。
でもバイキング形式にする事によってそこはセルフサービスとなり、
その弱みを解決できます。
またバイキングの懸念事項である、
バイキングにすると量を食べられてしまうというのも、
そこは農家直営です、原材料は売る程ありますし、
原価もどこよりも安いという百姓王一家の強み・笑。
あとはバイキング形式というのは自分の好みで食べる量を決められます。
当然、好みで無いものは避けて、
気に入ったものを沢山食べるようになるので、満足度は高くなります。
こうして「農家がカフェをやる」事を始めた
「農家のおうちごはんバイキング」は、右肩上がりに成長し、
現在では11時のオープン直後にはほぼ満席状態になるようになってきました。
また毎回半分以上は、リピーターのお客様になっています。