産経新聞に「スーパーから特売日」がなくなる!?
「毎日低価格」で新機軸という記事が出ていました。
EDLP・Everyday Low Price
エブリデーロープライスという毎日低価格という売り方は、
元々アメリカのウォルマートが事業を拡大していく時に、
経営戦略の柱に置いたやり方で、特別に安い日を設定して盛り上げる、
いわばチラシ日、特売日、催事日ではなく、
毎日同じ値段で可能な限り安く売る
「いつでも安い」という状態を作り出す販売方法です。
このやり方で、
全米に店舗を拡大していったウォルマート。
日本では西友を買収して、
現在「プライスロック」という呼び名で
お得意のEDLPを戦略の柱としているようです。
日本のスーパーの販促といえば折込みチラシ。
近年新聞購読世帯数の低下が言われていますが、
他に折込みチラシを越える有効な販促手段が無いので、
今でもスーパーの販促手段の柱になっています。
折込みチラシに掲載されている目玉商品の
特に常温食品(業界用語でドライグロサリー)の多くは、
原価スレスレもしくは赤字のものもあるのです。
ネスカフェ、砂糖、醤油、サラダ油、ダシの素などは鉄板商品。
これで集客して、
利益率の高い生鮮食品を買ってもらうというのが王道。
また日本ならではの旬や二十四節気、
時節柄を意識した食生活と祭りへの意識。
そして商慣習などもあって、
変化する価格を使いこなしてきた感もあります。
しかし今回の記事にある
「人手不足による特売日への対応問題」
この、今の日本が抱えている深刻な人手不足問題に端を発しているので、
方向性としてはEDLP路線に行くのかなと思います。
昔、食品流通会社で20代前半の頃、
スーパーへのルートセールスとして納品していた時、
賞味期限2週間のオレンジジュースを定番価格198円で3本納品して、
6日間販売して1本か2本残ったのに加えて、
1週間に1回の特売日に148円で36本納品すると、
翌日には完売していて、
また198円で3本納品するという事を延々と繰り返していました。
という事は、1週間に198円で1本か2本、
148円で38本前後売れているので、疑問に思って、
これってどうなんですか?と上司に聞いたら「商習慣だから」と、
「198円があるから、148円で売れる」という答えだった、
確かに定価の何割引きという表示には、
公取の規約で定価価格の販売実績期間が必要なのだが、
毎日158円で売った方がいいのでは?と思ったりもした。
でもそこは競争社会で、競合店がいくらで売るかも影響があるし、
消費者は「通常よりも今日はいくら安い!」に非常に敏感で、
ほとんど人は、実はモノの価格価値観に対しての考え方が確立されていない事を
後年知る事になるのです。
EDLPって実にアメリカ的な発想だと思うのですが、
近年の日本人がそれにどんどん慣れていくのもわかる気がします。