ローカルマーケティング

地方のマーケティング・産直食品通販広告制作者の備忘録

大きい店が優位とは限らない

地方の中小事業者から

「近々この町にイオンモールが出来るので心配だ」

との話を聞く事があるが、

確かに地方は、

巨大ショッピングセンターの出店によって、

町の流れそのものが変わってしまうので、

影響は小さくは無い。

同じカテゴリーで勝負してもまず勝ち目は無い。

実際に巨大ショッピングセンターの出店でエライ事になった町も見た。

 

まだ20世紀の頃、

中規模クラスのスーパーマーケットチェーンに、

幹部でN部長という面白い人がいた。

商売には血も涙も無いようなw

業者叩きの激しい厳しい人だったので、

私の所属していた会社の経営者とはあまり仲が良くなかった。

元絵描き志望の芸術家肌、

デザインの仕事が得意で独特のセンスと商売方法で、

100坪くらいの店を地域一番店にする実力を持っていた。

まだ若かった頃の私はその営業担当者になった、

意外と可愛がってもらって、

「ワシ今ひまやから珈琲飲みに来い」などと、

何度も電話で呼び出されるようになり、

色々教えたもらった事も多かった。

 

ある時、近くに大型スーパーの出店が決まった。

絶対影響があるでしょ?

近くにあんな大きな店が出来たら勝ち目が無いのでは?

という私の問いに平然とこう答えた。

「出来る競合店は大きければ大きい程良い、

なぜなら買い物に時間がかかるからだ!

主婦は時間の制約が大きいので、

欲しいと思われる商品を的確に品揃えしていれば、

売り場は狭い方が日々の買い物には便利だ」

 

時はバブルの頃、GMSといわれる大型店が隆盛で、

土日には駐車場待ちの渋滞が出来るのが恒例行事の時代に、

N部長の店は、近所に大型店や他のスーパーが出来ても、

相変わらず地域一番店であり続けた。

 

しばらくしてN部長は、経営陣と揉めて退社した。

そこからその繁盛店は下落の一途を辿って、

いまではその店の跡地は建て売り住宅になっている。

 

そしてGMSといわれるイオンモールなどは、

カテゴリーキラーといわれる業態に苦戦している。

 

大きい店では無く、価格が安い店でもない、

「欲しいと思われる商品を的確に品揃えしていれば、

売り場は狭い方が日々の買い物には便利だ」を体現した、

究極の利便性を追求した小さい店舗の、

コンビニエンスストアは未だに成長を続けている。

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