和歌山県有田の株式会社早和果樹園
みかん農家が六次産業化の為に作った会社で、
みかんの栽培から、みかんの商品加工、販売まで行っています。
その会社に新卒の大学生の応募が多くなっているという話。
和歌山県のこの辺りは仕事で頻繁に行くのですが、
残念ながら和歌山県って近畿地方のどこよりも状況が厳しい。
県庁所在地の和歌山市でも市内は百貨店の閉店が相次ぎ、
以前繁華街で賑わっていた場所も、シャッター通りとなっている。
人口減も激しく、耕作放棄地も多い。
有田はみかんで全国的に有名ですが、
日本人がみかんを食べなくなり、
総務省統計局の家計調査では、
1世帯当たりの年間のみかんの支出は、
平成3年の9,334円から、
平成23年は4,337円となり、
20年で半分以下に減少しています。
有名処の有田みかんの需要でさえ大幅減になっているという状況。
周りの有田みかん生産農家は廃業が相次ぎ、
耕作放棄されたみかん畑も少なくは無い、
また、現在みかん畑で働いている人も
高齢の方が多く、殆ど後継者はいない。
時々行政の主導で様々な試みをしているようですが、
残念ながら、見る見るうちに状況が悪化していく様子が見られます。
そんな有田でみかんを作る為に、
大学生の新卒が就職してくるなど、
考えもしなかったと思います。
少し聞いた話では、
たまたま縁があって出た
大学生向けの合同会社説明会のブースに、
予想もしない数の学生が並んだらしい。
そこから大学生の新卒採用が始まって、
50~60人の応募から、
毎年4~5名採用しているとのこと。
応募してくる大学生は、
実家は農家でもなく、
殆どが和歌山県外の大学。
大学生の話としては、
仕事しての農業に興味はあるが、
就農するのはハードルが高すぎるので、
ここなら会社員として就職できるという理由で、
人気があるとのこと。
その若者たちが、
斜面のきつい、体力的にもハードな、
みかん畑の仕事を担うようになっています。
早和果樹園の商品だとか、
先々の事業としての将来性どうのこうのよりも、
近畿地方のどこよりも寂れていく感じがする和歌山県の
右肩下がりの一次産業のみかん農家が作った、
六次産業の決して待遇の良いとはいえない会社に、
大学生の新卒が会社員として応募が殺到する事実、
このパラダイムシフトどうですか?
これは考えさせられます。
有田みかんの畑、緑の木の中に橙色の粒が見えるのが全部みかんです。