昭和30年~50年頃は、引越ししたら、
役所へ転入届を出して、
近所へ引越しそばとか粗品を持って挨拶回り、
電気、水道、ガス、電話、新聞、米、牛乳などを手配。
この流れの中に「宅配牛乳」があった。
なので、牛乳販売店の当時を知る人に聞くと、
毎日電話や店頭にそんな配達依頼が来たという。
しかし、21世紀の今、
転居した家庭が牛乳販売店に
配達依頼をする事はほぼ無い。
米屋も新聞屋もそんな感じだろう、
家の固定電話も今では小学生の家庭では半数以上無いらしい。
牛乳を全く飲まなくなったわけではなく、
スーパー・コンビニ・生協の個配などへ
一般家庭が牛乳を購入するメインの場所が変わった。
宅配牛乳販売店は無くなったわけでもなく、
昭和51年(1976年)の21,008件をピークに、
平成19年(2007年)には9,045件と数は激減しているが、
まだまだ営業を続けている所もある。
(2007年以降のデータは今のところ無い)
そんな宅配牛乳販売店事業の将来性を考えて、
2000年(平成12年)に高齢者向け宅配弁当事業に参入した。
参入当初は「高齢者向けの宅配弁当?何それ?」と言われていた、
今までにないものを説明して売るのは大変な作業だった。
しかし、今ではいろんなところも参入して、
2017年の現在では、毎日配達依頼の電話が掛かって来る。
当時から高齢者が増えるのはわかっていたし、
以前は年齢を重ねて動けなくなったら病院に入院というのが、
今後はその病院のベッド数がそれほど確保できないので、
「入院できなくなる」と言われ始めていた。
そんな一次情報はどこの新聞でも取り上げられて、
テレビやラジオのニュースでも流れていた。
食に関わる仕事をしていて思ったのは、
「入院できないのに買い物に行けない高齢者の方はどうやって食事するのだろう?」
という疑問。
そんな時、私の身近には母親という既にそのような生活をしている人が居た、
うちの母親みたいな人が増えたら、高齢者向けの宅配弁当とか、
こんなサービスがあったら事業として成り立つのでは?
しかも、宅配牛乳という各家庭に食品を配達するインフラがあり、
それが出来る企業文化がある。
(やってみたらかなり違っていたのだが・笑)
あれから17年、スタッフの努力の甲斐あって、
その宅配牛乳販売店に依頼の有る99.999%の新規顧客は、
高齢者向け宅配弁当になっている。
マーケティングの世界に身を置いて、
年齢を重ねてくると何となくわかって来る事が、
時流と客の需要を読むという事
どういうスタンスでやるのかという事
いつどのように始めるのかという事
このあたりが非常に重要だと思うのです。